
【 立秋(りっしゅう)】
2021年8月7日
“秋”の文字が登場しました。
まだ暑い日が続きますが、
秋の気配が少しずつ感じられます。
次の季節を迎える時期になったのですね。
空には巻雲、
朝夕は秋めいた風が吹き始めます。
「初めて秋の氣立つがゆへなれば也」
初めて秋を感じる頃。
「氣」は、天地に生じる自然現象
「立つ」は、自然界の現象・作用が目立って現れる
という意味ですので、
秋の先触れが現れてくる頃なのですね。
残暑のなか、
いつの間にか秋の兆しが
見え隠れしてくる時期、
「秋立つ」「秋来る」
という表現へと変わります。
そして本日からのご挨拶も
「暑中お見舞い」ではなく
『残暑お見舞い』となります。
“立秋を過ぎ、暦の上では秋ですが残暑厳しい日が続き〜”
などと、言葉を紡ぎたくなる時季です。
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〜 七十二候 〜(しちじゅうにこう)
日本の1年を72等分し、
季節それぞれのできごとをそのまま名前にしたもの。
約5日ごとに移ろう細やかな季節。
①初候8/7 涼風至(すずかぜいたる)
②次候8/13 寒蝉鳴(ひぐらしなく)
③末候8/18 蒙霧升降(ふかききりまとう)
①真夏の熱風から秋の涼しげな風に変わり始める頃。
まだ暑さは続きますが
少しずつ秋の兆候が感じ取れます。
空は高く、イワシ雲やひつじ雲など
秋の雲が見られます。
立春の後の初めての南風は
「春一番」といいますよね、
立秋の後の初めての風は
「初風」というそうです。
②寒蝉(ひぐらし)が ”カナカナ“と鳴き始める頃。
夕方、この声が聞こえると
夏の終わりを告げられているように感じますよね。
秋の虫たちの声も聞こえてきます。
涼しげですが哀愁を帯びて、
ちょっと寂しくもあります。
③深い霧が立ちこめる頃。
朝夕のひんやりした空気のなか、
森や水辺に立ち込めた霧は
幻想的で素敵な風景を演習してくれます。
気温と水温の差が
大きくなってきたための自然現象。
同じ原理で、
春の季節は「霞(かすみ)」という表現でしたね。
霧が発生する時は、
下の方を覆い尽くすように溜まっていきます。
霧が晴れていく時は、
上の方に吸い込まれるように消えていきます。
突然、別世界に
迷い込んでしまったかのような錯覚に陥って、
嘘のように、すうーっと晴れて
いつも通りの視界がクリアに広がる。
とても神秘的ですが
運転中の霧は本当に困りものです…
濃い霧ですと、道の先のカーブも、
道路のセンターラインも、
信号すら直前まで認識出来ません…
まさに『お先真っ白』ですので
充分お氣をつけください。
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そして、
ご先祖様をお迎えして御供養する
「精霊会」
「盂蘭盆」
と呼ばれるお盆。
「盂蘭盆(うらぼんえ)」の起源は、
サンスクリット語の
「ウラバンナ(逆さ吊り)」ですって‼︎
お釈迦様の弟子、目連尊者が
亡き母が地獄で逆さ吊りにあって
苦しんでいるのを救いたいと助けを求め、
“七月十五日に
夏の修行を終えた僧侶を招き、
多くも供物を捧げて供養すれば
母を救うことができるであろう”
との教えを実行して
母が救われたという説話から
ウラバンナを漢字で音訳して
「盂蘭盆」となったそうです。
余談ですが…
サンスクリット語は、
古代インドを中心に話されていた言語。
仏教と共に中国を経由して
日本に入って来たそうです。
チャクラ・ヨガなどや
仏・閻魔・卒塔婆・袈裟など以外にも、
阿吽…あうん
(宇宙の始まりと終わり→最初の音と最後の音)
三昧…さんまい・ざんまい
(心を等しく対する→精神集中を深めきる)
方便…ほうべん
(目的に到達するための道すじ→方法、手段)
刹那…せつな
(極めて短い時間→時間の最小単位)
達磨…だるま
(中国禅宗の開祖のインド仏教僧→法、倫理、規範)
般若…はんにゃ
(道理を明らかに見抜く深い知恵→知識)
旦那…だんな
(お布施をする事、お布施をする人→裕福)
などなど沢山あるのですね。
確かに『摩訶般若波羅蜜多心経』で、
菩薩や般若や菩提などが頻繁に出てきますよね。
毎日、何気なく
当たり前に使っている日本語。
ルーツを辿ると…
【和語】
日本で元から使われていた言葉
【漢語】
古代の中国語、
邪馬台国より以前に伝わった
【カタカナ語】
オランダ・ポルトガルなど
ヨーロッパの国との交易以降
この三つを合わせた言葉だそうです。
言語は “摩訶不思議” で興味深いですね!
あっ、お盆のお話でした。
ご先祖様が、
あの世と呼ばれる世界(浄土)から
この世(現世)に戻ってくる期間。
故人が生前を過ごした自宅で
お迎えして再び戻る
あの世での幸せ、
冥福を祈る機会です。
もちろん盆踊りも
亡くなった方を慰め供養するもの。
「阿波踊り」や「おわら風の盆」など有名ですね。
十三日、迎え火を焚いて
ご先祖様の霊をお迎えして
十五日(又は十六日)、
無事に戻られるよう送り火を焚きます。
その後、お供えや飾り物を載せた
精霊舟や燈籠を流す地域もありますね。
(“精霊流し”や“燈籠流し”といいます)
京都『大文字五山の送り火』は有名ですよね。
京都を囲む五つの山に
大文字→妙法→船形→左大文字→鳥居形
の順番に点火されます。
こんな送り火でお見送りされたら
ご先祖様は決して迷うことなく
お帰りになれますね。
この時期の休暇を“お盆休み”といって
一斉に休業になるのですから、
この古くからの行事“お盆”は
現在にしっかり受け継がれているのですね。
でも、お盆のしきたりは
地域や家庭によって様々なようです。
常に私達を見守ってくださるご先祖様を
大切に供養したいと思う気持ち、
感謝を表してお迎えしたいと思う気持ち、
それが最も大事な事で、
形ではなく
それぞれのお盆の過ごし方でお伝えすれば
よろしいのではないでしょうか…
まだ空には入道雲、
蝉の声が聞こえても
夏の終わりはもうすぐそこ。
旬の食材、夏の定番、
『枝豆』は栄養価も高く
肝機能の働きを
助けてくれる効果もあります。
『ビールに枝豆』はもう少しの間、
美味しくいただけますね。
夏至(6月21日)で
ピークを迎えた「陽の氣」から
「陰の氣」へ変わってきています。
心身共に陰陽バランスを整えて
これからの読書の秋・味覚の秋・スポーツの秋を楽しみましょう。
ミッションメンタリング協会認定マスター
周防千賀子
