
2022年6月21日【夏至(げし)】
北半球では一年で一番昼が長い日…
最高地から太陽が輝きパワーも最強の日です。
昼が最も短い冬至の頃より、東京ですと4時間40分程長いんですって。
だからといって、この日に日の出が一番早くて日の入りが最も遅いというわけではないようです。
日の出は数日前が一番早く、日の入りは数日後に最も遅くなるそうです。
「陽熱至極しまた日の長きの至りたるをもって也」
まだ梅雨どきですし、夏の暑さでもないので、夏に至ってはいない感じですが、
日照時間はこれから短くなっていくのですね…

〜七十二候〜(しちじゅうにこう)
春夏秋冬、一年間を二十四分割した二十四節気を更に三分割したのが七十二候。
季節それぞれの出来事をそのまま名前にした言の葉、約五日ごとに移ろう細やかな季節。
①初侯・第二十八侯 6月21日~6月25日
乃東枯(なつかれくさかるる)
乃東(だいとう)または夏枯草(かこそう)という『靫草』(うつぼぐさ)が枯れていく頃
冬至の頃に芽を出し小さな花を咲かせ靫草は、
これから色鮮やかな夏の花が咲いていくなかで季節に逆らうように、
ひっそりと夏至の頃に枯れていくというめずらしいお花なのですね。
②次侯・第二十九侯 6月26日~6月30日
菖蒲華(あやめはなさく)
水辺に花菖蒲が美しく咲く頃
アヤメやカキツバタ、ショウブなどアヤメ科の花が美しく綺麗な紫色の花を咲かせます。
アヤメが咲くと梅雨到来とも言われます。
花の色は紫色か白色。
花弁に網目状の模様が見られ、つけ根は黄色のお花がアヤメです。
『いずれ菖蒲か杜若』(いずれアヤメかカキツバタ)
という慣用句は、非常に似ていて優劣付けにくいという意味。
確かに見分けにくいですよね。
そこで見分け方としては下記のように出来るそうです。
陸地などに生えている
→アヤメ
水辺や湿地に生えている
→カキツバタかハナショウブ
花弁の付け根が白色
→カキツバタ
花弁の付け根が黄色
→ハナショウブ
更に注意点も…
美しく雅やかなアヤメですが、イリジェニンやテクトリジンなどの毒成分が含まれているそうです。
もし飼っている動物がお庭で遊ぶようでしたら、
誤って食べてしまわないようアヤメの周りに柵などを設置した方が良いそうです。
③末侯・第三十侯 7月1日~7月6日
半夏生(はんげしょうず)
半夏が生え始める頃
半夏の語源は『烏柄杓(カラスビシャク)』が生えることから、とも
半夏生と呼ばれる『片白草』の草の葉が半分白く染まる頃だから、ともいわれています。
農事の節目ともされていて、田植えを終わらせてお休みの時期です。
また関西ではこの日、蛸の足のように稲の根がしっかりと張るようにと、豊作を祈って蛸を食べる地域もあるとか。
このお花が咲いたらこの作業開始、でしたり、
この虫たちの活動開始、が合図で準備を始めたり、
一年を通して自然界を目安にしての生活。
自然界への信頼と常に寄り添う事で成り立つ…大切ですね。
余談ですが…
夏至から十一日目頃の「半夏生」(ハンゲショウ)という雑節でもあります。
烏柄杓(カラスビシャク)の球茎は漢方薬として使われています。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
などストレス・不安・気管支炎・喉のつかえ・胃不調・胸やけ、に効果的な漢方薬だそうです。
この植物は「狐の蝋燭」「蛇の枕」などの別名があるように、細い茎のちょっと不思議な形なのです。
カラスビシャク(別名ハンゲ)
もう一つ
緑と白の涼し気な色合いの半夏生。
「半化粧」「片白草」とも呼ばれる草花ですが、
一部の葉が白くなるのは、虫を呼び寄せるためのこの時期だけで、花期が終わると緑一色となるんです。
こちらもなんだか不思議ですよね。
ハンゲショウ
【夏至】といえば
三重県伊勢市『二見興玉神社』(ふたみおきたまじんじゃ)夏至祭
訪れた方も多いと思いますが、あの夫婦岩の前で夏至の日の出と共に禊をする祭典。
太陽のエネルギーが最も溢れる夏至の日に、夫婦岩の間から昇る朝日…
想像するだけでも感動的ですよね。
(本年度はコロナ感染拡大防止により夏至祭の禊ぎ行事は中止。神事のみご本殿での斎行だそうです)
(https://www.kankomie.or.jp/topics/detail_38.html お借りしました)
6月30日
一年の半ば「夏越しの祓い」
神社では罪や厄災を祓う、茅草(かやくさ)でつくられた『茅の輪くぐり(ちのわくぐり)』や
紙の人形(ひとがた)に氏名年齢を書いて身体を撫でて、息を吹きかけ穢れを託し納める行事が行われます。
大晦日の大祓いに対応している、一年の折り返し点
半年分の穢れを祓って清々しく後半スタートです。
是非、茅の輪を設置している神社を探して『茅の輪くぐり』を体験してみてくださいね。
7月始め(七夕辺りまで)設置してある神社もありますので。
和菓子の「水無月」(みなづき)も是非召し上がってくださいね。
スウェーデンなどでも白夜のなか、夏の到来ミッドサマーのお祭りが行われます。
日本でも清少納言が「夏の最も素晴らしいのは夜」と、この時期の “短夜”(みじかよ)を好んでいたようです。
今は二十四時間明るく眠らない都会、便利ゆえに忙し過ぎる日々。
時には昼間の明るさ・夜の暗さや静けさ、
そして四季の移ろいを感じられる暮らしに身をおいてみる。
本当の贅沢が見えてくるかもしれませんね。
ミッションメンタリング協会認定マスター
周防千賀子
