
2022年8月7日【立秋(りっしゅう)】
夏が極まり、ほんの少し秋の気配。
少しずつ涼しい秋が漂いだしてきます。
「初めて秋の気、立つがゆえなれば也」
“秋“という文字だけでも涼しさを感じます…
秋の氣が立って(目立って)現れてくるという意味。
まだ厳しい暑さのなかにも
秋の兆しが感じられる時期になったのですね。
「暦の上では秋ですが…」
「立秋を迎えましたが…」
などのフレーズが浮かびますよね。
本日以降のお便りは「暑中お見舞い」ではなく
『残暑お見舞い』へと変わります。
〜七十二候〜(しちじゅうにこう)
春夏秋冬、一年間を二十四分割した二十四節気を更に三分割したのが七十二候。
季節それぞれの出来事をそのまま名前にした言の葉、約五日ごとに移ろう細やかな季節。
①初侯・第三十七侯 8月7日~8月11日
涼風至<すずかぜいたる>
夏の暑い風に変わり秋の風が吹き始める頃
まだ暑さは続いていても秋の気配は現れています。
空は高くイワシ雲やひつじ雲と呼ばれる小さなモコモコした雲が見られます。
可愛らしい雲ですが、低気圧の前面に見られる雲で、雨が降るサインなのですって…
余談ですが
立春の後の初めての南風を「春一番」
立秋の後の初めての風を「秋の初風」
と、その季節の訪れを知らせてくれます。
②次侯・第三十八侯 8月12日~8月16日
寒蝉鳴<ひぐらしなく>
夕暮れにカナカナとひぐらしの声が聞こえ始める頃
夏の終わりを告げられているようなひぐらしの声。
そして夜には秋の虫達がバトンを受け取ったかのように鳴き始めると、涼しさと共に寂しさも感じてしまいます。
③末侯・第三十九侯 8月17日~8月22日
蒙霧升降<ふかきりまとう>
森や水辺のひんやりした空気の中に白く深い霧が立ち込める頃
明け方や夕方、立ち込めた霧は幻想的でいつもの景色を別世界へと導きます。
素敵な演出ですが、突然すうーっと晴れていつもの光景が広がるとホッとします…
春は「霞」かすみ…
霞はたなびく/昼間のみ・夜は朧(おぼろ)
空気中に水滴・ちり・煙などが浮かび白っぽくなったり、ぼんやりと見えたりする現象。
秋は「霧」きり…
立ちこめる又はかかる/昼夜両方
大気中の水蒸気が凝結して水滴となって浮遊し、視界が悪くなる気象現象。
水辺方向で見渡せる距離は1km未満、
陸上で見通せる距離が100m以下、
海上で500m以下が「濃霧」
「霞(かすみ)」は気象用語ではないのですね~(知りませんでした‼︎)
このような使い分け、日本人の細やかな感性って素敵ですよね。
そして、8月13日からは
“精霊会(しょうりょうえ)”や
“盂蘭盆会(うらぼんえ)”と呼ばれる月遅れのお盆。
ご先祖様の精霊をお迎え、もてなし、お帰りいただく行事です。
暮らしの安穏・豊作・繁栄を願います。
「お盆休み」と呼ばれますよね。
ご親戚の皆さまが集まればご先祖さまもお喜びです。
今年は久しぶりに帰省出来るかと思っていたのに、また感染拡大…
考えてしまいますよね…。
8月15日又は16日のお見送り
無事にあちらの世界(彼岸)にお戻りいただくための『送り火』
京都の送り火は壮大ですよね。
「五山送り火」と言って
京都の三方を囲む五山に燈される
大文字
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妙法
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船形
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左大文字
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鳥居
の五つの送り火。
お盆に訪れた精霊は、この壮大な送り火を見ながら、
迷わず帰って行くことができますね。
そう言えば、この時期の風物詩の「盆踊り」も、
本来はお亡くなりになった人々を慰め共に踊って喜んで、彼岸に送り出すためのものだそうです。
「お盆」という、普段とは違う日常のなかに
自分の命の源を振り返り、見つめ直すために費やす貴重な数日なのかもしれませんね。
終わりゆく夏。
ふとした時の僅かな秋の足音。
誰よりも早くそんな気配を感じられたら
自然界と仲良しのようでちょっと嬉しいですね。
ミッションメンタリング協会認定マスター
周防千賀子
