【清明(せいめい)初候 (4/4〜4/8)】の春の暖かい日差しの中、
その名の通り、清らかな明るさに満ちている頃に日本にやってきたツバメ。
春は一羽ずつ海面スレスレに飛んできますが
子育てをしながら夏を過ごし
この時期、数千〜数万の集団で再び暖かい南の地域へと帰っていきます。
一日に200km以上飛ぶこともあるんですって。
気温ではなく日照時間の長さを感知して渡りを開始するため、
年によるズレは少ないそうです。
“ツバメが低く飛ぶと雨”と言われるのは
天敵に狙われることがないように
あえて雲に隠れるようにお天気の悪い日に飛びたったり、
陽が落ちるのを待って飛びたったり、
小雨降る日でもたくましく飛んでいくからのようです。
またツバメって素敵な生態で、
毎年2回子育てするのですが、先に巣だった小ツバメがお兄さん・お姉さんとして
次に産まれた子ども達を外敵から守ったり
子育て出来なかったツバメも餌を運んで親鳥をサポートしたりするそうです。
高速道路のSAでツバメの巣をよく見かけます。
春先は親鳥だけで巣からクチバシだけ覗かせていた赤ちゃん達が徐々に加わって、
かなりの数のツバメ達がそれぞれに急旋回や急降下しながら飛びまわるようになります。
あのスピードでよくぶつからないものだと感心です。
これからの長い帰路に備えての飛行訓練でしょうね。
身近なところに巣を作り成長した子供達と南へ旅立つまでの夜間、
外敵から身を守るために集団で過ごす…と考えられていて
実際に夕方になると河川敷の葦(ヨシ)原にどこからともなくツバメ達が集まって来て、
暗くなる頃には沢山のツバメたちが葦に止まって体を休めているそうです。
「葦原の瑞穂の国」と呼ばれる日本。
河川敷のヨシは鳥だけでなく水中の稚魚を育てたりして
ツバメのような鳥の住処となり、弱い生物たちを守り、
水辺の生態系保全にも貢献している訳です。
そしてなんと“葦一本”で年に2トンの水を浄化する力があるんですって!
これは貴重な植物ですよね。
私達は漢方薬として、消炎作用や解毒作用(花、茎、根、葉などを利用)の効能や
枯れた葦を茅葺き屋根や夏の陽射しをさえぎる葦簀(よしず)として利用しています。
水中のリンや窒素を吸収して水質浄化、
光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を生成により地球温暖化防止、
地下茎が河川敷の土壌を固定して護岸を補強、
堆肥として土壌に還して土壌改良など
古くから多様な効能や特性で、人間や生物を含む
自然界すべてに万能なお役立ち植物なのですね。
改めて自然界の素晴らしさを実感です。
そんな葦原が少なくなってきているようですが
ずっとツバメが安心できるお宿でありますように…