無言でうなずく自分に、追い討ちをかけました。
「違う、違う、大きな勘違いだわ」
本当の冒険者って、徹底的に準備するでしょ。
身体を鍛え、装備を整え、地図を手に入れ、気候を読み、協力者を募る。
それは、危険を避けるため。当然のこと。
あの頃の私は、人生を冒険だと考えるあまり、
「もっと備えなければ」
「今の自分ではダメだ」
「変わらなきゃ・・・」
と思っていた。
できないこと、足らないことを、なんとかしようと頑張る。
そして、空回りしてた。
「人生は冒険じゃない。映画だよ」
誰と出会い、何が起き、どんな結末を迎えるのか。
主人公の自分にも分からない。
映画を観るときも、結末にたどり着くためだけに観ているわけではないよね。
笑い、驚き、胸を熱くする。
その時間を、丸ごと味わっている。
人生も、そんなふうに楽しめたらいい。
しかも、自分が主演するこの映画は、ただ今、上映中。
「準備ができて、自分を変えられるまで待ってください」
そう頼んでも、待ってくれない(笑)。
上映時間は、数十年。
長い?
いえいえ、大宇宙の中では、瞬きよりも短い時間。あっという間だよ。
どうせ私たちは、いつか死ぬ。
だったら、この映画を楽しんだ方が良くない?
「今、変わらなきゃダメだと思っているだろうけど、変わらなくてもいいよ。
本来の自分に戻ればいいんだよ」
これまでの経験。
自分なりのものの見方。
人生の中で、大切にしてきた思い。
置き去りにしてきた自分に、もう一度目を向ける。
持っているものを使え。使い切れ。
持っていないものは、動きながらそろえていけばいい。
必要なことを学び、誰かの力を借りながら、育っていけばいい。
すると、20年前の自分が聞いた。
「それで、20年後の自分は、営業できるようになったんですか?」
ううう、そこを聞くか・・・。
「いや、あいかわらず、営業は苦手のままだ。
でも、とても充実した良い人生を楽しんでるよ」
そこで、目が覚めました。
「もっと変わらなきゃ」と思ったら、一度、自分に聞いてみるといい。
「私は、自分が持っているものを、どこまで使ってきただろう?」
理想の自分より、本来の自分。
この「自分」で、筋書きのないドラマを楽しんでいきましょ。