こんにちは!篠田法正です。
これは、私が、
とある企業で次期リーダー候補の若手社員(Aさん)のコーチングをした時のことです。
それまでの数か月のコーチングで、互いの信頼関係も深まってきたため、
Aさんは自分の悩みを積極的に話してくれました。
「なんか、ほかの人たちと自分との温度差を感じる」とか、
「自分から声をかけているのに、返事もしないことがある」などと続き、
さらに、
「人の上に立つリーダーは、自分には難しい」
「〇〇課長がいるから、結局、自分はひいちゃう」
ということでした。
そこで、私は次のような話をしました。
Aさんは、ひょっとして、
リーダーシップとは、ヒツジの群れを率いるように、
指示命令でメンバーを意のままに操ることだと思っているでしょ。
それは、大きな勘違いです。
自分は課長ではないから、権限がないから、メンバーを動かせないと思うのも、
これまた大きな間違いです。
例えば、あまりよく知らない社外の人間である私が、突然この会社の課長に任命されて、
〇〇さんが課長から降格されて、ただの平社員になったとします。
あなたは、平社員の〇〇さんの言うことを聞かなくなりますか?
「いえ」
でしょ。
あなたは、〇〇さんが課長だから言うことを聞いているのではないですよね。
たとえ平社員となったとしても、〇〇さんのいうことを聞くのは、
技術や経験、人格などで、〇〇さんを尊敬、信頼しているからでしょう。
「はい」
一方、いきなり課長になった私が、
「言うことを聞かないと、今月の給料はないぞ」と言ったとしたら、どうだろうか?
しぶしぶ言うことを聞くかもしれないけど、心の中では「何言ってんだ、この野郎」と思うでしょう。
ひょっとしたら、あなたは、言うことを聞かないという選択をすることもできる。
そこで私は、強く怒ったり、処罰をちらつかせたりして、見かけ上、言うことをきかせることはできる。
ある意味簡単なことです。
でも、無理やり、言うことをきかせて導くことをリーダーシップとは言わない。
そして、課長であることと、リーダーであることとはまったく別のものなんです。
課長という役職、課長という権限は、会社から選ばれて得られるもの。
一方、リーダーは、誰でもなることができる。
要は、メンバーとの間に、尊敬と信頼があるかどうかなのです。
「なるほど。でも、尊敬と信頼を得るのはむずかしいですね」
「それは、他人を導こうとするからむずかしいんです」
「え? どういうことですか?」
「では、真のリーダーシップとは何か、核心の話をしましょう」
(続く)
では、またお会いしましょう。