こんにちは。篠田法正です。
あるビジネスコミュニティの交流会で、一人の女性起業家さんに出会いました。
「私は、オンライン秘書として、スケジュール管理や、資料やレポートの作成サービスをやっています」
きちんとした名刺と、そつのない自己紹介でした。
私は、いつもの好奇心で、「なぜ、それをやろうと思ったのですか?」と尋ねると、
「会社で5年ほど、事務職として働いていたのですが、
もっと自分らしく仕事をしたいと思って、起業塾に行ったら、
あなたの強みは何かって聞かれて……。
私、エクセルとかワードはできるので、
きちんとした資料作りが強みだって気づいたんです」
「そうですか。それはいいですね。
やりたいことができるというのが、起業の醍醐味ですからね」
と言うと、その方は、少し表情が曇ったようでした。
「ああ、そうですね……」
(あれ、この人、これが本当にやりたいことではないのかな)
その後、その方とは、交流会やセミナーで数回、顔を合わせていたのですが、
そのうち、見かけなくなってしまいました。
風の噂では、どうやらビジネスをあきらめて、再就職したようでした。
もちろん、その方が起業をやめた本当の理由は私にはわかりません。
ただ、あのときの少し曇った表情が、今も心に残っています。
「できること」と、「本当にやりたいこと」は、必ずしも同じではありません。
そして、
「努力して、できるようになったこと」と、
「持って生まれた才能」も、同じとは限らないのです。
もともとは苦手だったけれど、苦手を克服しようと努力して、人より上手にできるようになった。
周りからも評価されたので、それを自分の強みだと思っている。
そんなことは、意外に多いのかもしれません。
もちろん、努力して身につけた能力も、立派な力です。
仕事をするうえで、大きな武器にもなります。
ただし、その力が、自分を前へ動かすエンジンになるとは限りません。
できるけれど、疲れる。
評価はされるけれど、なぜか心が弾まない。
そのような能力を中心に起業してしまうと、
せっかく自分らしく働くために会社を辞めたのに、
会社員のとき以上に、自分を奮い立たせながら働くことになるかもしれません。
私が思う本来の才能は、使っていると、自然に力が湧いてくるもの。
頼まれなくても考えてしまい、もっと工夫したくなるものです。